釣りに行った 2022/04/27

昨日の夜雨が降っていたので加瀬ちゃんに車でバイト先まで送っていて貰った。

仕事を終えると雨は止み、満点の青空であった。

歩いて家まで帰った。11キロあった。帰っている途中見覚えのあるボルボがコンビニに泊まっていた。岡田さんである。

岡田さんの車に乗りそのまま後楽園に向かった。

その後二人で海に釣りに出かけた。

前回釣りに行ったときは我々は一匹も釣れず、隣の幼女がバカバカ魚を釣るという悪夢であった。

どうせ今回も釣れないだろうと思って行った。案の定釣れない。少しやり方を変えてみた。

途中からサビキという釣り方に変更した。

サビキとは釣り糸の終わりに小さなカゴのような穴が空いた物があり、そのカゴに到達するまでの糸の部分に大量の針がある。

そのカゴの部分にペースト状の餌を入れ海に沈める。すると海水で餌が周りに溶け出す。

その餌に寄ってきた魚が間違って針を飲み込むのだ。

サビキにした瞬間面白い様に連れた。

釣れすぎて途中から釣れることに飽きてしまった。

飽きたので、針に魚がかかった状態で放置して魚を眺めた。

針にかかった魚は必死に抵抗する。最後の悪あがきである。だが一度刺さった針は中々抜けない。

だがずっとあばれまっているとフッと針が魚の口から離れた。悪あがき成功である。

その後もずっと眺めていた。何匹もの魚が針にかかる。悪あがきして脱出に成功するものもいれば失敗して息絶える物もいる。

それを見ていて思った。意外と最後の悪あがきは成功率が高いのだ。

針を巻き上げる。針にかかった悪あがきの途中の魚たちは最後の抵抗を見せる。

もう終わりだと思っていた。私の人生なんてどうあがいても絶望しかないのだと。もう絶望という針にかかって釣り上げられる寸前なのだと。

だがどうやら終わりでは無いらしい。確かに針にはかかっている。だがまだあがいてなかった。あがかくのだ。かっこ悪く最後まで…意外と針は外れるものなのだから。

「俺ももうちょっとだけあがいてみるよ ありがとな」

そうつぶやいて、私は素手で針にかかった魚を掴むとそっと優しく針から離してやった。そして海へと投げ捨てる。

西日が僕たち二人を照らしている。並んで歩き出す。その足取りは力がこもっていた。

ではまた明日。