スマホを落とした 2022年5月10日

友達とツーリングに出掛けた 行きと帰りで合計50キロ自転車を漕いだ。ツーリングが終わり家に帰りスマホを見ようとポケットの中を探ると、そこにはあるはずのスマホがなかった。

途中でよった店に電話したが、スマホは無いとの事だった。ツーリングの最中に落としたのだ。

つまりこれからスマホを探すために、また50キロ自転車を漕がなければならないのだ。辺りはもう暗くなり始めている。目を凝らしてスマホを探しながら自転車を漕いだ。折り返し地点の場所についたが、スマホは見つからなかった。辺りは完全に真っ暗になっている。

呆然としたまま自転車を漕ぐ。ベンチがあったので横になった。その時私は福島にきて初めて夜空を見た。そこには満点に輝く星空があった。星空のきれいさに驚いた。そして自分が今までこの空に気づかなかった事にも驚いた。

暇だったので星一つ一つをつなげて、オリジナルの星座を想像して遊んだ。想像は無限に広がる。まるでこの星空の向こうの宇宙のように。

スマホを持ってない中学生のころ、私の暇つぶしは想像や空想だった。寝る前、授業中、親に説教されているとき、どんな時でも想像した。

想像の中では何者にでもなれる。運動神経皆無の私がメジャーリーグでホームラン王になれるし、女の子に見向きもされない私がアイドルと付き合うこともできる。

ホームラン王になりながらアイドルと付き合い、学校に攻めてきたテロリストを一人で鎮圧することもできる。

想像は無限だ。その当時の私の頭の中には宇宙があった。高校に入ってスマホを手にしてから、暇つぶしはスマホになった。スマホの中には大量の娯楽がある。スマホも無限の宇宙である。

だがスマホという宇宙を手にしてから、想像力という頭の中の宇宙は、少しずつ収縮していった。スマホをなくした今、頭の片隅でホコリをかぶっていた想像力を引っ張り出す。

収縮し光を失っている。だがまだ死んではいないらしい。これからはこいつにお世話になる。これから暇なときはプロ野球選手になろう。アイドルと付き合おう。そしてコンビニを攻めてきたテロリストを一人で鎮圧しよう。

いつの日か想像力で、僕のシナプスがこの夜空のように輝きますように。

ではまた明日