大怪我 入院 7月10日

昨日の朝仕事が終わりブックオフに寄って帰った。ブックオフでは「このすば」と「夫のちんぽが入らない」と「金閣寺」を買った。

それを小脇に抱えて帰る途中に自転車で転んだ。

転んだ瞬間頭を強く打って頭から血がボタボタ垂れてきた。でも二時間後に面接があるのでとりあえず家に帰ろうと思って自転車をこぎだした。そして気がついたら家の前にいた。転んでから家まで漕いだ間の記憶が無くなっている。

家に帰って鏡を見た。頭とおでこが血液で真っ赤になっている。まぁでも寝たら治るだろうと思った。今思うと治るわけがない。最近暇な時にワンピースやカリオストロの城を見ていたせいで、怪我は肉や肉団子が入ったスパゲッティを食って寝れば治るという間違った価値観に犯されていた。自分をルフィやルパンと勘違いしていた。というかあの二人ですら治療は一応している。

ちなみにその時の私がどれくらい血だらけだったかと言うと、そのまま頭突きすればクロコダイルにダメージを与えられるくらいには血だらけだった。血でも砂は固まるだろ。

その後一応面接はやった。だが面接官には「血だらけだからカメラは写したくない」と言ってカメラ無しでやった。何をしゃべったか覚えていない。

面接を終えて救急車を呼んだ。救急車に始めて乗った。救急隊員が傷口を水で流してくれた。この状態で面接を受けたんですよと言うと「根性ありますね」と誉めてくれた。

気を良くして「この状態ならクロコダイルにダメージ与えられますね」と言おうかと思ったけどやめた。あちらは真剣なのだ。

30分ほど揺られて病院についた。病院に言ってからはCTスキャンをされたあと後頭部を六針縫われた。

どうやら後頭部に大きな穴のような傷口があったらしい。

どれくらい大きな穴かと言うと、夫のちんぽが入るくらい大きな穴である。

その後は携帯をいじっていたが、ICUに入るということで携帯を没収された。

ICUは気が狂うかと思うほど暇だった。

スマホもテレビも小説もない。点滴と心拍を計る物をつけられているので身動きが取れない。ただ白い天井をボーッと見続けるだけである。

小便に行きたくなった。だがナースコールを中々押せない。「ICUにいる間はトイレは一人で勝手に行かないでくれ」と言われていた。

ICUと言えば重症の患者が入っている場所である。看護師も医者もせわしなく動いている。そんな所で自転車で転んでタンコブつくっただけの男がナースコール押して「すいません 小便いきたいんですけど…」と言えるだろうか?常人には無理である。だが膀胱にも限界がある。恥を忍んでナースコールを押す。看護師さんに小便をしたいと伝えるとやさしく丁寧に尿瓶にするように言われ、「カーテン閉めときますね」と言ってカーテンを閉めて出ていってくれた。

とても優しい看護師さんだった。泣きそうになった。決してこの看護師さんに迷惑をかけてはいけない。この看護師さんに俺が出来る唯一の恩返し。それは一滴足りとも小便をこぼさず尿瓶に入れる事以外には無いだろう。私はまるで千利休が急須で茶碗に抹茶を注ぐように尿瓶に尿を注いだ。

とても厳かな時間であった。心なしか、ししおどしの「カタン」という音が聞こえた気がした。

もう一度ナースコールを押してその尿瓶を持っていって貰うと、やることもないので寝た。

起きると朝だった。もう一度脳のCTを撮ってICUを出ると母親が来ていた。 

非常に申し訳ないと謝った。母はそこまで怒っている素振りもなかった。

その後病院を出て母親の車でシェアハウスまで送ってもらった。

とても長い一日だった。皆さん自転車に乗るときはヘルメットをしましょう

ではまた明日