初出勤 9/10(土)
2022年9月7日 この日はなんの日だろうか?
有名な人の誕生日?ノン 気になるあの子の誕生日?さらにノン
この日は私が初めて正社員になった日である。
9月6日の夜 私は遠足前日の様な高揚感と、夏休み最終日の様な喪失感の2つを胸に抱えながら、静かに睡眠という海に溺れたのだった。
ピピピピ 無機質でけたたましい電子音が睡眠の海から私を引きずり出す。
風呂に入り、髭をそり、新しい服に着替える。靴下の色を黄色にしたのは、私の心の角にある、ささやかな社会への反骨精神からてあろうか。
会社につく。中年のハゲたおじさんと一緒に作業着に着替える。
そのあと作業にはいる。作業内容は機械で部品を削り、加工していくという物である。
最初なのでわからない事を丁寧に教えてくれているのと、単純作業なのでそこまで苦には感じない。
初日ということもあり、午前中で作業は終わった。明日からは本格的に八時間の労働になる。かなりキツそうである。
私の人生はどうなるのだろうか。この仕事をいつまでやり続けるのだろうか。先のことはわからない。
初日から不安でいっぱいのまま家に帰った。正直明日働く気力が湧かない。もうバックレようと決意した。
家に帰ってゲームをした。最近はパワプロをやっている。マイライフという自分がプロ野球選手になるモードで、私は打率6割 ホームラン60本の成績を叩き出している。
マイライフ内で商店街を歩いていた。するとある女性に声をかけられた。本若春陽という女性である。私は彼女に告白した。
私の告白に対して彼女は「はい喜んで」とニッコリと笑顔を浮かべた。
その瞬間工場の不安 疲れ が全て吹き飛んだ。
彼女の笑顔のために働こう。そう思えた。
それから春陽といろんな所へ行った。遊園地、カフェ 商店街。彼女はいつも僕に笑いかけてくれた。
だが、私は彼女に嘘をついている。彼女は僕の事を打率6割 ホームラン60本 高卒一年目にして阪神タイガースの四番を勤めている選手だと思っている。
でもそれはマイライフの中だけである。現実は違う ただのしがない工場の作業員である。
それをいつか春陽に言わなければならない。彼女は幻滅するかもしれない。でもこのまま嘘をつき続けるのはとても辛いのだ。
そのあといてもたってもいられなくなりジムに向かった。身体を動かし汗を流す。こんなだらしない体型では春陽が二次元から現実に遊びに来たときに幻滅されてしまう。
とにかく自分の肉体を追い込んだ。耳にはイヤホンを付け、音楽を流して気分を高めている。
音楽のサビが流れてくる。同時に私もサビを叫ぶ。
「It's my life 」
ではまた明日 ヤー