成人式の思い出 1/12(木)

過ぎてしまったが先週の日曜日は成人式であった。今は成人の年齢が二十歳ではなく十八歳であるため、成人式とは呼ばず「二十歳のつどい」と呼ぶらしい。

ツイッターを眺めていると、「親から成人式の行く用のお金を貰ったが、成人式には行かずパチンコを打っていた。夕方頃に『人が多過ぎて友達に会えなかった』と嘘を付き自宅に帰ると、母親から『じゃあ 腕によりをかけたご馳走作らないとね』と言われて自室で泣いた。」というツイートが回ってきた。

それを見て自分の成人式の日の事を思い出した。

二十歳になった年の一月九日の朝 私は母親に「成人式に行く」と言って家を出た。

自転車を漕ぎ息を切らしながら成人式の会場に到着する。

だが会場に入る気にはならなかった。当時大学を休みがちになってしまっていた為、同世代の男女に引け目を感じていたのだろう。

私は踵を返して会場を後にした。

だが家に帰るわけには行かない。家には先程私を見送った母親がいる。母はきっと二十歳になった私の事を思っているだろう。アルバムをめくりながら私の小学校入学、中学校入学、高校入学、大学入学そして現在と今までの軌跡を振り返っている事だろう。

だがここの周辺にはいられない。昔のクラスメートに今の私を見られたくもない。

私は駅に向かった。駅は人でごった返している。適当な切符を買いホームに降りた。

今この駅に着いた電車からは沢山の人が降りてくる。

きらびやかな衣に身を包んだ男女が、ハイテンションになりながら何かを話している。

逆に私が今から乗ろうとしているこの駅発の電車は嘘のようにガランと空いていた。乗客は私一人である。

「ドアが閉まります ご注意下さい」電車は私だけを乗せて駅を出る。同世代の男女の喋る声がドアに遮られ小さくなる。そして発射音にかきけされ完全に聞こえなくなる。

一時間ほど電車に揺られた所で、私は電車を降りた。降りた場所がなんという地名だったかは覚えていない。

駅を出てすぐに公園があったので、そこのベンチに腰かけた。

適当にスマホをいじっていると小腹が空いたので辺りを見回す。近くにファミリーマートがあった。

店内に入ると成人の日キャンペーンでファミチキが30円安くなっていた。

ファミチキ1つと水を買ってベンチに戻る。左手でファミチキを食べながら右手スマホゲームをする。口の中が気持ち悪くなったら水を飲む。ファミチキを一口たべる。ゲームをする。水を飲む。ファミチキを食べ終えてしまったのでまたファミリーマートへ向かう。

ファミチキと水を買ってベンチに戻る。

これを計五回繰り返した。五個目のファミチキを食べている途中に気持ち悪くなり、ファミマのトイレでゲロを吐いた。

ファミマの店員はさぞ不気味だったことだろう。同じお客がファミチキと水を五回買いに来た後、トイレでゲロを吐いているのだから。

公園のベンチに戻り、そのまま寝た。起きたときには周りが暗くなっていた。

電車に乗り、地元の駅に戻る。自転車を漕いで家に帰った。家に帰る途中、一件目の店で飲み、これから二件目に向かうのであろう二十歳の集団とすれ違った。顔を見られたくないので全速力でペダルを漕いだ。

汗だくになりながら家に着くと母が出迎えてくれた。

「遅かったわね 酒のんで来たの?顔も赤いし」

顔が赤いのは自転車を全速力で漕いでいたからである。罪悪感から話しかけてくる母を無視して家に入る。

家のソファーで横になりながら「気持ち悪い…」と呟いた

すると母は「調子に乗って酒飲み過ぎたんでしょ もう大人なんだからね お酒の飲み過ぎはダメよ 今回で学習しなさい」と言ってきた

母親は何もわかっていないのだ。

私は調子に乗って飲み過ぎたのではない。やることが無さすぎて食べ過ぎたのだ。

今日で私が学習したのは酒の飲み過ぎがダメな事では無い。ファミチキの食べ過ぎが駄目な事なのだ。

母に詮索されるのを恐れて、そのまま自室に戻り私は寝た。

以上です。成人式は行った方がいいですよ 今思うと行けば良かったと思います